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第3回 口コミ・いまむかし

更新日:2018/4/5

第3回の話題は「集客」です。
工務店の集客手段と言えば、今も昔も「紹介」や「口コミ」が王道ではないでしょうか。口コミや紹介による受注が多くを占める工務店は珍しくありません。例えば、(一社)住宅リフォーム推進協議会の平成29年度住宅リフォーム実例調査の結果によると、消費者がリフォーム事業者を選んだ方法のトップは「知人、友人の紹介」(34.6%)=下グラフ参照。年代別に見ても、40代以下でインターネットの活用率が高いものの、どの世代でも2~3割(戸建のほうが割合は高め)が紹介だと回答しています。

個人的な印象としても、元気な工務店ほど紹介による受注が、全体の受注件数に占める割合が大きく、受注の7~8割以上が紹介によるものという工務店も、さほど珍しい存在ではないと感じます。一口に紹介、口コミといっても、OB施主が紹介してくれることもあれば、会社や現場の近所に住んでいる人が評価してくれたり、あるいは協力業者の方が誰かに薦めてくれることもあるでしょう。住宅(商品)そのものの質が良い、社員や職人さんの態度や仕事ぶりが気に入った――理由はいろいろでしょうが、地域で仕事をする工務店、職人さんたちにとって、その地域で評価される、信頼されることが、利益にもつながることは、もうよくご存じでしょう。

とはいえ現代の情報化社会の中で、口コミのかたちが大きく変化していることもまた事実です。
最も大きな変化は、やはりインターネットの存在。「価格.com」や、「食べログ」のように、ユーザーのレビューを掲載する「口コミサイト」が数多く存在し、今やインターネット通販の代名詞となった「Amazon」にも、日々多くのレビューが投稿されています。

総務省の情報通信白書(平成28年度版)によると、ショッピングサイトで買い物をする際、レビューを「参考にする」人が6割強を占めており、若い世代ほどその傾向が強く見られます=グラフ上参照。また口コミサイト以外でも、FacebookやTwitterといったSNS、あるいはブログなどで、まんがや小説、映画、音楽などの感想を投稿している人なども少なくないようです。

こうしたインターネット上の口コミは、見ず知らずの人の投稿、発信である点が、ご近所同士のようなリアルの口コミとは決定的に違います。もちろん、ネット上の情報は玉石混交ですから、多くの人はそのレビューが信頼できるのか、あるいは自分の趣味と合うかなどを考慮して受容するのでしょうが、面識のあるなしが、情報の信頼度とはさほど関係なくなっているのが実情でしょう。

最近、特に都市の周辺部を商圏とするような工務店さんから、口コミや紹介では受注しづらくなった、との声を聞くことが増えました。他の地域から転入して住まいを構えようとする人が多い、マンション住まいなどで既存の地域コミュニティに組み込まれにくい、などがその原因だと考えられます。こうなると確かに、従来のようなリアルの口コミによる受注拡大は難しそうです。

しかし、今の若年層は匿名のレビューでも受容することを考えれば、逆に口コミが力を発揮するともいえるのではないでしょうか。口で伝えてもらうのではなく、OB施主のブログやSNSを口コミの媒体とすればよいのです。もちろん、商品やサービスを評価してもらい、投稿して(広めて)もらうには相応の関係が必要ですが、それはリアルの口コミでも同じことですね。

「今の時代、口コミに頼っているような状況はいけないのではないか、と思うのですが」。ある工務店さんからこう訊かれたことがあります。当然そんなことはありませんが、口コミの新しいかたちが定着していることは、頭の片隅に入れておいてよいと思います。リアルの口コミが成り立つならそれに越したことはありませんが、インターネットを、誰もが簡単に使える時代なのですから、うまく使ってみるのも悪くはないのではないでしょうか。

寄稿:A(住宅ジャーナリスト)

 

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