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第10回 消費税増税、各種支援策を活用して乗り切ろう

更新日:2019/3/5

新年度が目前に迫ってきました。5月の改元をはじめとして話題は尽きませんが、10月に予定されている消費税増税も、住宅に関わるお仕事をされている皆様は大きな関心をお持ちのことでしょう。食料品への軽減税率の適用、エコカー減税の拡充や自動車税の引き下げなど、増税の負担軽減策が各分野で打ち出されていますが、住宅についても、昨年12月に閣議決定された2019年度の当初予算案では「需要変動を平準化する」ための事業に、2000億円以上が投じられることになっています。

増税のたびに起こった駆け込み需要や反動減。今年もまた駆け込み需要が発生するのでしょうか? 実際のところ、ふたを開けてみないとわかりませんが、生活必需品や消費財への影響から景気が悪化し、結果的に住宅市場も落ち込んでしまうかもしれない――そんな意見も聞かれます。

ちなみに、8%への増税(2014年4月)に際して、ある工務店ネットワークが会員社の増税前後の受注状況を調査したところ、むしろ増税後に受注が増えて忙しいという工務店が少なからずいるという結果が出ました。想像ですが、駆け込み需要で自社のキャパシティ以上に需要するよりも、ミスやトラブルなく優良な住まいをつくるほうが大事だと考え、顧客への説明や補助金の活用によって、増税というマイナスを乗り越えた工務店が多かったのではないでしょうか。

とはいえ、増税対策としての補助金や各種制度が気になる方も多いはず。ここで2019年度の「需要変動平準化対策」の中身をざっと見てみましょう。要点は次の3つです。

①「次世代住宅ポイント制度」 ② すまい給付金の拡充 ③ 住宅ローン減税の拡充

①は、かつての住宅エコポイントや省エネ住宅ポイントと同じく、「税率10%で一定の性能を有する住宅」の取得(注文住宅、分譲住宅、リフォーム)に対してポイントを発行する制度です。すでにあちこちで内容が報じられていますし、説明会に参加した方もいらっしゃるでしょうから、肝になりそうな部分に絞って紹介しましょう。

新築の場合、発行されるポイントは「標準ポイント」「優良ポイント」「オプションポイント」の3種類。標準ポイントは基本的な条件(断熱等級4、耐震等級2など)を満たした住宅に発行されるポイント(30万ポイント)で、この制度を利用する最低限度の基準です。加えて、長期優良住宅や低炭素住宅(もちろん認定されたもの)、ZEHなどには優良ポイント(5万ポイント)が加算されます。

そして、注目したいのがオプションポイントです。子育て支援や働き方改革の観点から、“家事負担軽減設備”(ビルトイン食洗器や浴室乾燥機、宅配ボックスなど)の設置もポイント発行の対象になるのです(0.9万~1.8万ポイント)。優良ポイントの対象外であっても、標準以上のポイントがもらえることになります。今となっては標準的といえる機器ばかりですし、リフォームの場合も発行対象になるので、ぜひ活用してほしいものです。

 

リフォームでは、40歳未満の若者か18歳未満の子どもがいる子育て世帯は、ポイントの発行上限を30万から45万ポイント(既存住宅を買ってリフォームする場合は60万ポイント)に引き上げます。

ただし、特に注意してほしいのが、工事費に充てる「即時交換」です。今回の制度では、即時交換にポイントは利用できません(予定)。以前のエコポイントなどの利用経験者の中には、即時交換を期待している人もいる思われるので、注意してください。

②は、給付対象になる世帯が、収入額の目安の上限が775万円以下(これまでは510万円)までになり、給付額も20万円高い50万円が最大額になります。③は、10年間だった控除期間を3年間延長。13年間、所得税などの控除が受けられることになります。

次世代住宅ポイント制度で即時交換ができない、という点は少し気になるところですが、増税による住宅取得費用の増加はほぼ抑えられるような内容になっています。みなさんも経営の安定や、高品質な住まいづくりのためにも、新しい制度や既存制度の拡充を積極的に活用していただければと思います。

寄稿:A(住宅ジャーナリスト)

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