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第12回 どこまで「外注」するか

更新日:2019/5/8

みなさんは、普段のお仕事をどこまで社内、あるいはご自身でやっていますか? ここでいう「仕事」は、設計や施工、現場の監理、顧客対応だけではありません。ホームページの管理や、チラシやニュースレターの制作(デザイン)、あるいは会計の処理など、どんな企業や事業主としてやらなければいけないことも含みます。

一定以上の規模の会社であれば、専門の部署や担当者を設けて処理することも多いでしょう。しかし、従業員が2~3人の工務店なら1人が複数の業務を掛け持ちしていたり、一人親方で全部自分でやっている、なんて方もいるのではないでしょうか?

全てを自分でやることが悪い、といいたいわけではありませんが、現場から帰ってきてから前述したような仕事に取り掛かるのは、あまり効率的とは言えないように思います。睡眠不足や疲れで翌日の仕事に支障をきたせば、本末転倒です。

“働き方改革”があちこちで進み、人手不足も相まって、コンビニエンスストアでさえ24時間営業を見直している中、小規模工務店や一人親方の働き方も改善しなくてはいけない時期に来ているのでしょう。一方で「そうは言ってもやらなくちゃいけないし……」という本音(実情)も、またよくわかります。

さて、そこでみなさんに考えていただきたいのが、タイトルでも掲げた「外注」です。

本業の家づくりなら、各職種の協力業者に仕事を依頼することはごく日常的なことだと思います。UA値や一次エネルギー消費量の計算も、建材メーカーなどがサービスを提供しています。また、会計は税理士にお願いしているという会社、人もいるでしょう。このように、外注すること自体は日常的だと言えますが、どこまでを外注するのかが問題です。社内(もしくは自分)でやるか、外注するかを決めるポイントは、以下の 点にあると考えます。

 1、事業の核になる部分かどうか

工務店、職人は家づくり(ものづくり)が本業。できれば、ここはなるべく社内でこなせるようになってほしいところです。

特に、省エネ計算は、最終的には自社でやることを目指していただきたいと思います。2020年の省エネ基準の義務化は、結局のところ「説明」の義務化ということになりましたが、いずれは「適合」が義務化されるはず。省エネ性能を大々的にPRしている大手ハウスメーカーの勢力も無視できない中、住宅の省エネ性を理解するためにも、「いずれは自社で」を目標にすべきではないでしょうか。

2、高度な専門知識を必要とするかどうか

家づくりにかかわる部分だとしても、例えば構造計算は高度な知識を要求する部分です。経験のない人に、いきなりやれと言っても難しいですよね。知識をつけるにも時間がかかります。こういう分野はむしろ、専門家に任せてしまうべきでしょう。

先ほどの記述と矛盾しますが、省エネ計算も現状では難しく感じる人が少なくありません。計算プログラムも有償、無償を問わず多々ありますが、一度もやったことがないという人が、いわば商品として消費者に提供する住宅でいきなりやるのは負担が大きいでしょう。慣れていない段階では、任せてしまうほうが負担軽減という観点からはおすすめです。

3、デザインや情報が重要な要素になっているかどうか

ホームページもチラシも、パソコンと少しの知識があれば、最低限のものはつくれる時代です。下手をすればスマートフォンで事足りることもあります。FacebookやInstagramなど、既存のサービスで代用もできます。

一方で、ホームページやチラシは、自社のスタンスやつくるものを消費者に訴求する手段です。そのデザインと、家づくりのスタンスやつくる家のかたちとかけ離れていたら、消費者に知ってほしいところを理解してもらいにくくなるのではないでしょうか? 集客手段としてのホームページ、チラシは、自社のアピールポイントを的確に表現できるデザインやコンテンツでなくてはならないはずです。

WEBや印刷物のデザイナーは、みなさんにとってあまり馴染みのない存在でしょう。また、的確にみなさんの仕事を表現できるデザイナーは多くなく、だれに頼むのかは難しい側面もあります。ただ、伝えたい情報を、伝わりやすいかたちで表現することが大切だということは覚えておいていただきたいと思います。

社内(または自分)で、すべてをハイレベルでこなすことができるのは、ある意味理想の姿かもしれません。ですが、限度はあります。外注することは、お金はかかりますが、負担を軽減し、かつあらゆる仕事の質を高めることにつながります。信頼できる「外注先」を探してみませんか。

寄稿:A(住宅ジャーナリスト)

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