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住まいの本質:第1話「豊かに暮らせる家を造ろう」

更新日:2020/7/29

まず、あなたが幸せでいよう、家のつくり手も売り手も

「家を建てたい」
そう考えて工務店を訪れるお施主様は皆、前向きです。 元気のない方を、私はお見掛けしたことがありません。

「結婚するから」「子どもが進学するから、現在の家が手狭になったから」…。
家を建てる理由は様々ですが、突き詰めればほとんどが、子どもの成長や家族の幸せを描いて前向きな選択をしています。 その相談をするのに、元気がないわけがありません。「親族の介護のために・・」といった方も年々増加傾向ですが、家族を守っていこうとするバイタリティにも幸せを願う愛を感じます。

一方で、相談を受ける工務店の担当者はどうでしょうか。
住まいへの夢を語ってくるお施主様に対して、住宅のスペックの説明に終始していたりしませんか。
実際に家をつくる職人の皆さんは、どうでしょうか。
現場に入ったとき、「お施主様はなぜこの素材を選んだのだろう?」「壁はどうしてこの色なのか?」などと、想像してみる瞬間はありますか。

当然ながら住宅のスペックは大変重要であり、だからこそ当機構では会員の皆さんを通じて、長期優良住宅の建築に力を入れています。ただ、それは家づくりの前提に過ぎません。 品質の確保された家を舞台に「豊かな暮らしを営んでいくこと」こそが、家を建てることの本質だからです。
私がこの先お伝えしていくことはすべて、ここにつながってきます。

工務店や職人の皆さんには、住まいへの思いをお施主様と共有してもらいたい。そうすれば、完成した家の見た目はごく普通の住宅だとしても、暮らしがスタートしてからの〝結果〟が必ず違ってくるはずです。

そのためにはまず、お施主様の夢や希望を受け止める必要があります。 ただし、これは受け止める側の心が満たされていなければ難しいと思います。
自身の生活がすさんでいる人に、他人の夢を支えられるわけがないからです。

1つひとつの家づくりを本質的に叶えるために、お施主様だけでなく家のつくり手も売り手も、携わる者すべてが幸せを感じる心を手に入れること。
これがとても大切だと考え、当機構の理念に据えています。

職人なくして家建たず

当機構は2012年、工事現場の第一線で活躍する職人の支援を掲げて発足しました。その経緯と現在の活動について、お話しします。

私は不動産・建築を家業とする家で生まれ育ちました。
家の敷地内に作業場や加工場があり、木の香に包まれたおがくずの山に飛び込んで遊んだのをよく覚えています。 そして、身近には常に大勢の大工職人がいました。

やがて成人し、実家の会社に就職します。
配属は建築部。任された最初の仕事が、10階建てビル工事の現場監督助手でした。夜は図面描きに追われ、飯場で職人たちと寝食を共にする日々が始まりました。

始めは、職人たちに白い目で見られがちでした。当時はまだ20代前半の若造で、しかも「社長の息子」として登場したわけですから、無理もありません。(後に、家業を継ぐことはせず独立しましたが…) 話を聞いてもらうどころか、使い走りにされることもしばしばでした。
それでも目の前の仕事を懸命にこなすうち、だんだんと周囲に認めてもらえるように。チームワークが芽生え、皆がリーダーとしての自分を応援してくれるまでになりました。
「型枠の〇〇と鉄筋の〇〇が喧嘩している」などと聞けば、仲裁に駆け付けたものです(笑)。 その後もほぼ同じメンバーでいくつかの現場を回り、経験を積んでいきました。

どんな建築物も、職人がいなくては完成しません。
大工、型枠、鉄筋など様々な専門技能をもつ職人たちが自らの手で建物をつくっていくさまを、私は子どものころから現在に至るまで、すぐそばで見てきました。その仕事の尊さを、深く理解している自負があります。

しかし現実には、請負契約を結ぶ上で不利益を被ったり、その結果労働災害が起きたりするなど、職人が不利な立場に置かれることが少なくありません。 そこで、職人の地位を底上げするために設立したのが、当機構です。
これまで、契約上のトラブルに対して第三者の立場から解決を図る、地域材を使った木造住宅建築の推進を通じて職人の仕事を生み出す――といった支援を展開してきました。

2017年には「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」が施行されました。その名の通り、職人の安全・健康の確保に向けた取り組みを、国を挙げて進めていくことが明記されています。
当機構としても引き続き、国と歩調を合わせて、職人の支援を強化していきます。

自然の〝香り〟で暮らし豊かに 世間に広く発信

並行して工務店に対するサポート、一般向けの情報発信にも取り組んでいます。

現在の日本の建築業界では、元請けである工務店から職人へと仕事が発注される流れが一般的です。お施主様と直接の接点をもつのも工務店です。
こうした重要な役割を踏まえて、長期優良住宅の申請代行といった工務店向けの支援を行うことで、技術力を生かせる質の高い仕事が職人に回るような、好循環を目指しています。そして一般ユーザーに向けて、品質の高い住宅が重要であることの啓発や、豊かな暮らしの提案をしています。


特に豊かな暮らしについては「五感(視覚・聴覚・触覚・温熱感覚・嗅覚)」に焦点を当て、その中でも特に「嗅覚」に着目。自然の香りを用いて家族の「健康」を整えよう――といった提案を、会員の皆さんを通じて行っています。

健康。それは一般のお施主様だけでなく、職人や工務店をはじめ、家づくりに携わる関係者すべてに共通するキーワードです。
なぜなら、先に申し上げたように「1つひとつの家づくりを本質的に叶えるために、お施主様だけでなく家のつくり手も売り手も、携わる者すべてが幸せであること」が大切であり、これを実践するには、心も体も健康であることが基本だからです。
ですから今後は業界に向けても、従事者がまず健康であるべきということを訴えていく考えです。
建設業の団体の活動としては異色かもしれませんが、先述の「建設工事従事者の安全健康確保の推進法」の趣旨にも合致し、理念に即した取り組みと考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後もイベントや当HPを通じて、業界や社会全般に対して私が日々感じていること、「五感」を生かした暮らしの提案などを発信して参ります。

第2話「日本の住宅の現状
第3話「長期優良住宅が住宅建築の標準に
第4話「日本の山・木材の現状①

一般社団法人建設業総合支援機構
本橋秀之

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